当日私は誰よりも忙しくハードだった。
朝から家ボスの様子がおかしい。
腰が痛いと言って動かない。
正直なところ、最初は思った。
「今日はデイサービスの日やし、また仮病か?」
家ボスには前科がある。
しかし今回は違った。
しばらくしても全く動けない。
あまりにも痛がるので、
「救急車呼ぼうか?」
と聞くと、
「うん……ほんまに痛いんや」
と弱々しい返事。
これはあかん。
慌てて救急車を呼んだ。
保険証。
お薬手帳。
飲み薬。
タオル。
下着。
必要そうな物を抱えて救急車へ。
こういう時、不思議と頭は回る。
慌てているのに、
「あれ持ったか?」
「これ要るな」
と勝手に身体が動く。
病院で診察。
結果は即退院ではなく、一応入院。
ただしMRIは予約がいっぱい。
月曜日の夕方まで撮れないらしい。
そのため結果も分からない。
退院も未定。
家に戻る。
今度は追加装備を回収。
マスク。
コルセット。
テレビ用イヤホン。
目薬。
再び病院へ。
外は雨。
私はカッパ姿で自転車を走らせる。
昼ご飯を食べる時間もない。
汗と雨で何が何やら分からない。
そんな中、妹ボスから連絡が入る。
「夜行くわ」
ほう。
さらに続く。
「姉ちゃんも病院行く?」
又、行くんかい!
今日は誰が救急車に乗ったと思ってるんや。
誰が病院と家を往復したと思ってるんや。
誰がカッパ着て走り回ったと思ってるんや。
しかも面会時間は10分。
もう今日は用事ない。
そして申し訳なさそうに、役目を果たすためか、月曜日に休もうか?と言う。
MRIの結果は月曜夕方まで出ない。
その日に退院もできない。
来ても何も進まない。
だから私は言った。
顔を見に行くなら一人で行ってくれ。
家ボスが倒れて分かった。
人にはそれぞれ役割がある。
救急車に乗る人。
荷物を集める人。
病院を走り回る人。
そして、
なぜか通常運転で仕事へ向かう人。
妹ボスは今日も平常運転だった。
そして私は今日も、
家ボスと妹ボスに振り回される人生を送っている。
同じように介護をしている人にも共通することだが、
誰かがしっかりすれば、片方は安心して何もしなくなる。
追伸
家ボスへ。
頼むから次はデイサービスを休みたい時、
救急搬送レベルの演技はやめてくれ。
今回は本物やったけど。
最初に疑ってしまったやないか。
追伸2
私は汗だくで家に帰った。
雨の中、自転車で病院と家を往復し、ようやくシャワーを浴びた。
普通ならここで一息つくのだろう。
しかし私は違う。
パソコンを開いた。
そしてブログを書き始めた。
家ボスが入院した、その日にである。
心配していない訳ではない。
朝から病院を走り回り、昼ご飯も食べる暇がなかった。
それでもブログを書く。
ネタが新鮮なうちに書いておきたいのである。
我ながら、なかなかの強者だと思う。
家ボスが入院した日に、
せっせとブログを書いている娘なのだから。
ちなみに妹ボスは仕事へ行った。
私はブログを書いた。
結局、家ボス以外は全員いつも通りだった。

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