白内障手術、視力1.0の代償
母が白内障の手術を受けて2日目。
手術は無事に終わり、両目とも裸眼で視力は1.0。
本人は白内障手術で視力が良くなったことをまだ実感できていないが
言葉が物語っている。
…いや、見えなくて良かったものまで見えとる。
私の顔をじっと見て、母が言った。
「あんた、何でそんな顔してるの?シミだらけや。」
最悪である。
介護の毎日と、後回しにした自分の顔
毎日顔は洗っているし、鏡も見ている。
でも介護をしていると、自分の顔をゆっくり眺める時間なんてほとんどない。
施設へ迎えに行き、病院へ付き添い、買い物へ走り回る。
毎日が時間との勝負だ。
しかも移動は自転車。
真夏の太陽に向かって走ることも珍しくない。
日焼け止めは塗っている。
でも汗をかけば、あっという間に流れてしまう。
シミを隠すファンデーションを求めて百貨店へ
そんな毎日を繰り返しているうちに、自分でも気付かないくらいシミが増えていたらしい。
そして、その事実を教えてくれたのは、視力を取り戻した高齢の母だった。
翌朝。
私は開店時間に合わせるように百貨店へ向かった。
目的はただ一つ。
シミを隠せるファンデーションを買うこと。
店員さんとの気まずいやり取り「昨日です。」
化粧品売り場で店員さんに聞かれた。
「どんなお悩みですか?」
「シミです。」
「いつ頃から気になり始めましたか?」
私は迷わず答えた。
「昨日です。」
母に言われて初めて気付きました。
店員さんは思わず笑っていた。
私も笑うしかなかった。
母の「見えたまま」発言はいつも通り
そう言えば、母は白内障の手術をしてから、本人は気づいていない
ようだけれど、見える世界が変わったようだ。
以前のブログにも書いたが、目の前にいた頭の薄い男性を見て、
「よう光ってるわ」
と、本人に聞こえる声で言ってしまった。
悪気はない。
見えたまま、思ったままが口から出るのだ。
そして今回は、その矛先が私だった。
「あんた、シミだらけや。」
でも今になって思えば、その一言が私に気付きを
与えてくれた。
考えてみれば、この数年、自分のことはずっと
あと回しだった。
人って、自分では見えているようで、案外見えていない。
逆に、人から言われた一言で急に気になることもある。
母の白内障手術は大成功だった。
でも、その副作用は娘に出た。
母の視力は1.0。
そして私は、シミが目立ちにくいファンデーションを手に入れた。
ただ、ひとつだけ新たな問題がある。
現在の私の顔は、パックをした状態で玄関に
立つより、すっぴんで立つ方が怖い。
携帯で写真を見ると、ほんまにオカルト。
……本音です。
自分自身を見直すきっかけ
あの一言を母から言われるまで、自分の顔を
ゆっくり見ることもなかった。
でも、あの日の「シミだらけや。」という言葉
は、私に自分自身を見直すきっかけをくれた。
これからは母のことだけではなく、残りの人生、
自分のメンテナンスも大切にしていこうと思う。

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