戦わないという働き方

最近、ふと思った。

そう言えば、私は誰とも戦っていない。

若い頃は違った。

営業なら売上、接客なら評価、職場では「あの人には負けたくない」と、どこかで人と比べていた時期もあった。

年齢を重ねるにつれ、その気持ちは徐々になくなっていった。

人と比べる気持ちが、薄れていった。

今の職場は少人数で回っている。

一人欠けるだけでも大変になるような環境だ。

周りには、この仕事を長く経験してきた人や、専門知識を持った人がいる。

私は全く違う業界からこの仕事に入った。

最初から知識や経験で勝てるとは思っていない。

だから張り合おうとも思わない。

もちろん、知識は勉強する。

分からないことは聞く。

経験から学ぶこともたくさんある。

それは、人と競争するためではない。

目の前のお客様に、私なりに誠実な接客をしたいからだ。

職場を見ていると、人は意外と誰かと戦っている。

評価。

売上。

知識。

立場。

誰が上で誰が下なのか。

そんな目に見えない勝負が、どこの職場にもあるような気がする。

競争することが悪いとは思わない。

競争があるから成長できる人もいるだろう。

そして、ふと考える。

その競争は、一体誰のためなのだろう。

売り上げで勝ちたい。
知識で負けたくない。
評価されたい。

それは結局、自分のためだ。

お客様には関係のない話だ。

お客様が求めているのは、スタッフ同士の順位
ではない。

「この人に相談して良かった。」
「この人から買って良かった。」

そう思ってもらえる事だと、私は思っている。

私は、その輪の中に入らない。

勝っても負けても、会社を一歩出れば何も変わらない。

それなら、自分が納得できる仕事をしたい。

会社との向き合い方は、また別の話。

昔から考え方は変わらない。

会社が嫌なら、自分が辞めればいい。

会社を自分の思うように変えようとして、不満ばかり口にするより、自分が動いた方が早い。

だから私は、「嫌になったら辞めます」と最初から伝えている。

脅しでも何でもない。

ただ、自分の人生を誰かに委ねたくないだけだ。

もちろん、今は辞めるつもりはない。

今の立ち位置は案外居心地がいい。

期待され過ぎず、それでいて必要とはされている。

そのくらいが、今の私にはちょうどいい。

若い頃は「一番っていいな」と思っていた。

だけど今は違う。

一番じゃなくてもいい。

目の前のお客様が笑顔で帰ってくだされば、それで十分だ。

そんな働き方も悪くないと思っている。

……とは言え、よく考えたら私は全く戦っていないわけではなかった。

毎朝、デイサービスへ送り出すまでの攻防戦。

薬を飲んでもらう交渉。

病院へ行く説得。

そうだった。

私が今、本気で戦っている相手は職場の誰でもない。

家ボスだった。

しかも、この勝負だけは毎日ゴングが鳴る。

仕事では平和主義。

でも家に帰れば、今日も私は家ボスとのリングに上がるのである。

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