圧迫骨折、その後の母の逆襲

夜中、トイレに行こうとして躓いたらしい。

朝方、母が悲痛な顔で私の名前を呼んだ。

「立たれへん…動かれへん…」

あの母が弱音を吐くなんて珍しい。
私も一瞬で目が覚めた。

救急車を呼んで、家の中は一気に大騒動。

診断は圧迫骨折。

病院で一泊、その後はショートステイへ。

その間、私はと言うと――

ケアマネに連絡。
仕事を休み。
母が帰って来る準備で走り回る。

玄関には手摺。
トイレにも手摺。
介護ベッドを搬入。
風呂には滑り止めマット。
そして、念の為にオムツも購入。

「これで少しでも安全に暮らせるやろ」

そう思って、せっせと準備した。

そして1ヶ月後。

母、帰宅。

私はちょっと感動していた。
「これで安心して生活できるな」と。

……が。

帰って来た瞬間から母の怒りスイッチ発動。

「何やのこのデカいベッド!!」

「手摺いらんねん!!玄関狭なる!!」

「トイレまで狭いわ!!」

そして極めつけ。

私がそっと置いていたオムツを見つけ、

「オムツなんか誰が使うの!!」

と大激怒。

いや、こっちは保険として置いただけやねん。

まるで私が明日から強制オムツ生活を始める計画でも立ててたみたいな勢い。

その後、業者さん再び登場。

私の努力、まさかの全撤去。

で、現在の母。

何事も無かったかのように、

毎日、自分で押入れに布団を上げ下げしている。

圧迫骨折とは何だったのか。

あの介護ベッドの存在意義とは。

そして今日も母は、自分で押入れに布団を入れている。
圧迫骨折より強かったのは、母の意地。

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