妹ボス、外面良く、内面は操縦不能 ③

妹ボス

母が入る施設の部屋用に、収納家具を揃えることになった。

妹がホームセンターへ行き、棚と収納ボックス、それからタンスを見に行くという。

危機一発のLINE

すると、案の定LINEが鳴った。

「返事ないからこれに決めるで」

……いや、待って。

決める直前に気づいた私は、慌てて返信した。

「それは要らん!」

危機一髪である。

返事がないから即決する。

この妹ボスのスピード感、いっそ尊敬に値する。

内容を確認すると、そこそこ立派なタンスだった。

棚と収納ボックスについては「いいよ」と伝えたが、タンスだけは却下した。

出た、「可哀想」ワード

すると妹ボス、すかさず言う。

「お母ちゃんのこと可哀想やって言うんやったら、それくらい買ったらええやん!」

出た。

「可哀想」ワード。

妹ボスの得意技のひとつである。

感情に訴えて、相手に「じゃあ買おうか」と言わせる作戦。

しかし、ここだけは譲れない。

そもそも、タンスを置くほどのスペースが部屋にない。

必要じゃないものを増やして、結局使わなかったら、それこそ本末転倒だ。

今、本当に必要なものだけ揃える。

必要になったら、その時に買い足せばいい。

それだけの話である。

そして何より。

母自身が物を増やすのが好きじゃない人なのだ。

「母のため」と言うなら、母の好みも尊重してほしい。

ガチャン、電話が切れた

「私、何回も買いに行かへんで!」

そして、

ガチャン。

電話が切れた。

……こっちのセリフである。振り回されてるのは、
こっちの方なのに。

結局、その日は棚と収納ボックスだけを購入した。

必要なものは、ちゃんと揃った。

タンスは買わなかった。

それでいい。

それぞれの「母のため」

母のために何をするか。

そこには、それぞれの考え方がある。

でも私は、母が今まで大切にしてきたものまで、施設に持っていきたい。

母なら、必要もないのに大きな家具を増やしている私たちを見たら、

「そんなもん、いらんやろ」

と言うと思う。

私は妹に伝えた。

「昨日も言うたやろ。ほんまに必要な物だけでいい。いるんやったら、後から買っていけばええやん」

それでも妹は納得しない。

そこで私は、最後にはっきり言った。

「妹よ、ほんまにお母ちゃんのこと思って言ってるんやったら、あんたが買え」

外面は良い、内面は操縦不能

妹ボス、外面は良い。

介護の仕事をしているだけあって、外ではきっと「お母さん思いの娘」に見えるだろう。

しかし家に帰れば——

操縦不能。

今日も妹ボスは、我が道を行く。

そして私は、今日もその後ろを走る。

いや。

もう、走らん。

必要なものだけ、ゆっくり買おう。

笑えたら、今日も大丈夫。

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