……ユニバ言うてしもたな。
「忙しい」の中身が遊びやと、自分でバラしてしまった妹ボス。
少し考えたのち、渋々、土曜日の朝一番で母を眼科へ連れて行ってくれた。
自爆の威力、すごい。
ここまでは良かった。
問題は、ここからや。
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ユニバの2日前、夜11時。
スマホが鳴った。
明日は、友達と和歌山日帰り旅行の第二弾。
(ユニバの前日や)
直売所でワカメを買うため、朝4時半起きに備えて、早めに寝ていた。
「寝てた?」
寝てた?と聞きながら、喋り続ける妹ボス。
聞く気ないやんか。
質問の形をした宣言やんか。
用件は、ユニバの服。
「それでええんちゃう」
そう言って、私はワカメの夢に戻った。
……つもりやった。
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翌朝4時半。
妹ボスに叩き起こされた私は、それでも和歌山へ向かった。
まずは淡島神社でお参り。
「今日も一日、幸せでありますように」
手を合わせて、あの穴くぐりもして、気分は上々。
ランチは大当たり。
食べきれない量が出てきて、友達と3人でわけわけ。
それでも残ったものは、じゃんけんで好きなものを取っていくゲームになった。
雨予報やったのに、車を降りてる間はほとんど降ってないか小雨。
恵まれた日やった。
そして、直売所のワカメ。
前回は80グラム。
今回は、500グラム。
友達と半分こ。
めっちゃ安かった。
幸せな旅やった。
⸻
そして、帰ってきたら。
またLINEが鳴った。
「この服でええかな?」
服の写真付き。
こっちは、
「何でもええやん」
と思う。
でも、こだわりの強い妹ボスは悩みに悩んでいる。
「それでええやろ」
と返して、一件落着。
のはずやった。
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ユニバ当日の朝。
「ちょっと寒いから、こんなんは?」
写真3枚。
こっちは朝から仕事の準備で戦場やのに、なぜか私がスタイリストになっている。
「一番右は?」
「半袖は寒いかなあ」
「ほなロンTは?」
「無い」
「Tシャツに薄手のロングコート、あったやろ」
「Tシャツが無地しか無い」
無地でええやん。
何のこだわりや。
普段あれだけ百貨店に行ってるのに。
服も買ってるのに。
いざという時に着る服、ないんかい。
役に立たん服ばっかり買ってるんか。
それとも、買った服を忘れてるんか。
どっちや。
その後も、LINEは写真付きで何度も届く。
通知が鳴るたびに、
「また来た」
と思う。
気づけば私は、ファッションショーの審査員。
しかも出演者は、合格を出しても聞いてくれへん。
「もう白のブラウスとか無いん?」
そう言ったら、今度は本人とブラウスが一緒に写った写真が届いた。
「このブラウスでいけるかなあ」
ええんちゃう!
こっちは仕事やねん!
ええ加減にしてくれ!
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結局、3日間。
私の「それでええんちゃう」は、一度も採用されなかった。
そして、ぱたりとLINEが止まった。
……結局、どうしてん?
ブラウスで行ったんか。
コートを足したんか。
それとも全部やめて、最初の服に戻ったんか。
あれだけ人を巻き込んでおいて、報告なし。
お礼なし。
ユニバの写真もなし。
答え合わせのない試験ほど、気持ち悪いものはない。
私はそのまま仕事をして、1日が終わった。
妹ボスが、服に全力を注いでいた3日間。
私は、ワカメに全力を注いだ1日を過ごした。
母の眼科は渋々。
ユニバの服は全力。
これが、我が家の妹ボスである。


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