母との一戦が始まると、なぜかご近所さんが静かになる。
さっきまで聞こえていた生活音。
お茶碗を洗う音。
テレビの音。
窓を閉める音。
それが、ある瞬間からピタッと止まる。
あたりが妙に静かになるのだ。
たぶん。
いや、絶対聞いている。
「また始まったぞ」
そう思っているに違いない。
こちらとしては真剣である。
でも途中から、こっちまで変な空気になってくる。
母も負けない。
私も引かない。
気付けば、親子というより討論番組。
しかも観客付き。
たまに静かすぎて逆に気になる。
「今日、人おらんの?」と思うくらい静か。
いや、居る。
絶対居る。
ただ、聞いている。
そして戦いが終わる頃には、また少しずつ生活音が戻ってくる。
お茶碗の音。
外の話し声。
日常再開。
たぶんご近所さんの中では、
うちの親子喧嘩も季節の風物詩になっている。

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