途中から私はカウンター係になった

日常を楽しむ

たまにセミナーや講演を聞いていると、内容より先に気になるものがある。

「えっとー」
「あのー」

である。

最初はちゃんと聞いている。

“なるほど”
“それ分かるわ”
と普通に学ぶ気で座っている。

でも、ある瞬間から空気が変わる。

「成功する為には、えっとー…」
「あのー…まず行動が…」

その辺りから、私の脳が勝手に動き出す。

えっとー、3回目。
あのー、2回目。

気付けば私は、受講者ではなく集計担当になっていた。

内容はもう頭に入っていない。

今大事なのは、“えっとー”の累計である。

しかも不思議な事に、回数を数え始めると余計気になる。

「あ、今ちょっと間あった。来るぞ。」

“えっとー”

来た。

心の中でガッツポーズである。

もちろん緊張してるのも分かる。
言葉を探してるのも分かる。

でも、人間って同じ言葉が続くと、内容よりそっちを待ってしまう生き物らしい。

私は昔からそこを少し気にしている。

接客でも会話でも、“間を埋めるクセ”って意外と耳に残る。

だから焦った時ほど、一回黙る。

変に「えっとー」を連発するくらいなら、数秒止まった方が聞きやすいからだ。

せやのに。

この日の私は、学びに来たはずだった。

なのに帰る頃には、

「今日の“えっとー”、過去最高ちゃうか?」

しか残っていなかった。

途中から私は完全にカウンター係になっていたのである。

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