天然界の女ボス

先日、電車で元同僚にばったり会った。

私は見つけた瞬間、目を逸らした。

なぜなら、その人は天然界の女ボスだからだ。

見つからないうちに逃げようと思ったが、時すでに遅し。

「久しぶり!」

捕獲された。

「今度お茶でも行こう。」

ここまでは良かった。

気が付けば、

お茶 → ランチ → 〇〇の路地裏の寿司屋

へと進化していた。

私は近所のファミレスを提案した。

しかしボスは言う。

「久しぶりなのにそこで良いんですか?」

いや、良いねん。

むしろ私はそこが良かってん。

その後、ボスからLINEが来た。

「路地裏の寿司屋、いいところあるよ。」

ほうほう。

と思った次の瞬間。

「教場見た?」

話題変わるんかい。

私は

「見たで。〇〇が好きやから。」

と返した。

既読。

終了。

返事なし。

会話終わったと思っていた翌日。

何事もなかったようにLINEが来た。

「今度の食事、何時にする?」

昨日の教場はどこ行った。

「11時は?」

とボス。

「大丈夫やで。」

と返す私。

すると数分後。

「14時からやって。」

調べてから聞けっ!

さらにボスは続ける。

「寿司屋、並ぶかもー。」

私は言った。

「大丈夫やで。」

すると返ってきた言葉。

「私は嫌や。」

どっちやねん。

昔からボスはこんな人だった。

電話のお客様と話し始めると長い。

しかも初めてのお客様。

なぜかお客様は自分のことをペラペラ話す。

家族のこと。

仕事のこと。

健康のこと。

個人情報まで話している。

私は横で何度も思った。

「何でそんな話になるん?」

美人だからでもない。

話術があるようにも見えない。

営業トークとも違う。

ただ、相手が勝手に話している。

気付けば警戒心の強い人まで味方にしている。

会社でも誰も勝てなかった。

だから私は密かに呼んでいる。

天然界の女ボス。

今回の再会で分かったことがある。

ボスは私の人生に現れた教材なのかもしれない。

ただし問題が一つある。

気を抜くと私の個人情報まで持って行かれる。

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